qemu-img

RedHat 仮想化ガイド
KVMディスクイメージ(仮想HDD)を操作する為のコマンド。
ディスクイメージの拡大・縮小、空HDDの追加などを行える。

仮想HDDの拡張

仮想HDDの容量拡張をおこなっても、ゲストOS側のパーティションは変更前の設定になっている。
その為、容量拡張を行った後にゲストOS側でもパーティションのリサイズをする必要がある。
例えば、仮想HDDの容量を100GB増やす場合は以下の様になる。

# qemu-img info gest-os.img
image: gest-os.img
file format: qcow2
virtual size: 120G (128849018880 bytes)
disk size: 49G
cluster_size: 65536

# qemu-img resize gest-os.img +100G


仮想HDDの追加

仮想HDDを作成する場合は、ホストOSで仮想HDDを作成した後にゲストOSのHDDマウントポイントを書き換え、
ゲストOS側でフォーマットをする。

  • 100GBの仮想HDDを追加
  • 追加する仮想HDDは"/var/libvirt/images/hdd-2nd.img"
  • ゲストOSの設定ファイルは"/etc/libvirt/qemu/gest.xml"
# cd /var/libvirt/images
# qemu-img create -f qcow2 hdd-2nd.img 100G
# vi /etc/libvirt/qemu/gest.xml
---
仮想HDDを追加マウントする為、
以下の内容をxmlファイルの<devices>ディレクティブ配下に追加する
追加する時は<target dev='***'>や<address slot='***' fonction='***'>等が、
他のxml要素と被らない様にする。

下の記述方法では、追加する仮想HDDをゲストOSの/dev/vdb、
IDEコントローラをPCIスロット10(0x0A)に割り当てている。
===
<disk type='file' device='disk'>
  <driver name='qemu' type='qcow2'/>
  <source file='/var/libvirt/images/hdd-2nd.img'/>
  <target dev='vdb' bus='virtio'/>
  <address type='pci' domain='0x0000' bus='0x00' slot='0x0A' function='0x0'/>
</disk>

仮想HDDを追加した後は、
ゲストOS側から仮想HDDをフォーマットする。

仮想HDDの圧縮

ゲストOS内でファイルの書き込み削除を繰り替えすと、仮想HDDでqcow2を利用している場合、
0を書き込まれた空領域に変換されてしまい、ホストOSから見た仮想HDDが膨張していく。
仮想HDDを圧縮する場合は、この0で埋められた箇所を切り詰める作業となる。
 
ただし、圧縮した後はゲストOSの書き込み(iowait)に負荷がかかる為、
敢えて圧縮しないで運用するのも一つの手である。

  • 圧縮前後ともに、qcow2形式とする
  • 圧縮前の仮想HDDは"/var/libvirt/images/hdd.img"
  • 圧縮後の仮想HDDは"/var/libvirt/images/hdd.comp.img"
# qemu-img convert -c -f qcow2 -O qcow2 /var/libvirt/images/hdd{,.comp}.img


仮想HDDの固定

qcow2形式で作成した仮想HDDは、シンプロビジョニング(容量増加HDD)となるが、
必要となる容量を常に確保しつつ、仮想HDDを拡張しながら書き込むので動作が遅くなる。
書き込み速度を重視する場合、シックプロビジョニング(容量固定HDD)で作成しておくと、
0パディングされた状態となる為、書き込みオーバーヘッドが減って動作が速くなる。
 
qcow2をシックプロビジョニングにする場合、シンプロビジョニングで一度作成した後に、仮想HDDの変換を行う。

  • シンプロビジョニング・シックプロビジョニングともに、qcow2形式とする
  • シンプロビジョニングの仮想HDDは"/var/libvirt/images/hdd.thin.img"
  • シックプロビジョニングの仮想HDDは"/var/libvirt/images/hdd.thick.img"
# qemu-img convert -p -f qcow2 -O qcow2 -o preallocation=full /var/libvirt/images/hdd.thin.img /var/libvirt/images/hdd.thick.img


仮想HDDの縮小

仮想HDD領域の容量縮小をするには様々の方法が存在するのだが、今回は手順が多いが確実に縮小出来る方法を行う。
ただし、縮小前のゲストOSが、現在割り当てられている仮想HDD容量の限界まで使っている場合は、
容量縮小をする事が出来ない場合もある。
 
大まかな手順は下記の通り

  1. 縮小後容量で仮想HDDを作成
  2. GParted LiveCDを使って、ゲストOSを起動(GPartedを起動)
  3. GPartedを使って縮小前仮想HDDのパーティションを縮小後のパーティションにリサイズ(容量縮小)
  4. GPartedのコンソールから、ddコマンドで縮小前仮想HDDを縮小後仮想HDDへダンプする
  5. GPartedから、縮小後仮想HDDのパーティションをリサイズ(容量拡張)
  6. ホストOSから縮小前仮想HDDと縮小後仮想HDDを入れ替える
  7. 縮小後仮想HDDを圧縮する

 
他に前提として下記の通りとする

  • 縮小前の仮想HDDを150GB、縮小後の仮想HDDを100GBとする
  • kvm-libvirtから読み込ませる為に、GPartedはPAE非採用版(gparted-live-0.21.0-1-i586.iso)を使う
  • ゲストOSの設定ファイルは"/etc/libvirt/qemu/gest.xml"
  • GPartedのLiveCDは"/var/libvirt/images/gparted.iso"
  • 縮小前の仮想HDD(150GB)は"/var/libvirt/images/hdd.img"、マウントポイントは"/dev/vda"
  • 縮小後の仮想HDD(100GB)は"/var/libvirt/images/hdd.dec.img"、マウントポイントは"/dev/vdb"



1). 縮小後の仮想HDD作成
仮想HDDの追加と同じ操作を行う。

# cd /var/libvirt/images/
# qemu-img create -f qcow2 hdd.dec.img 100G

 
2). 仮想HDDのリサイズ
後の作業でHDDのダンプをする為に、縮小前のHDDの使用領域を縮小後のHDD領域よりも少なくする。
例えば、150GBの仮想HDDから100GBの仮想HDDへ縮小する場合、パーティションのリサイズは95GB程度にする。
あと、GPartedから仮想HDDを操作する為に、縮小後仮想HDDの追加と、
下の設定をゲストOS設定ファイル(xml)の<devices>ディレクティブ配下に追加する。
他のアドレス情報である<target>や<address>についても他と被らない様に変更する。
さらに、<os>ディレクティブのbootデバイスもcdromに変更する。

# vi /etc/libvirt/qemu/gest.xml
---
<os>
  <type arch='x86_64' machine='centos'>hvm</type>
  <root>/dev/vda</root>
  <boot dev='cdrom'/>
</os>
===
<disk type='file' device='cdrom'>
  <driver name='qemu' type='raw'/>
  <source file='/var/libvirt/images/gparted.iso'/>
  <target dev='hdc' bus='ide'/>
  <readonly/>
  <address type='drive' controller='0' bus='1' target='0' unit='0'/>
</disk>

 
3). 仮想HDDのリサイズ
GParted上から縮小前仮想HDD上のパーティションをリサイズする。
GUIを見れば使い方はわかるので詳細説明は割愛。

 
4). 仮想HDDのダンプ
GParted上のコンソールから、縮小前仮想HDDの内容を縮小後仮想HDDへダンプする
GPartedのrootへログインする為には、rootのパスワード変更をする必要がある。
ちなみに、GPartedの初期ログインユーザは"user"、パスワードは"live"になっている。

$ sudo passwd root
  Enter new UNIX password:
  Retype new UNIX password:
$ su -
  Password:
# dd if=/dev/vda of=/dev/vdb bs=4096

 
5). 仮想HDDのリサイズ
縮小後仮想HDD容量はダンプの都合でパーティションを少なくしている為、
縮小後仮想HDD容量の最大値まで利用出来るように、パーティションを切り直す。
パーティションを切り直した後はGPartedを終了する。

 
6). ホストOSから縮小前仮想HDDと縮小後仮想HDDを入れ替える
ゲストOSの起動HDDが縮小前仮想HDDになっている為、縮小後仮想HDDに変更を行う。
ひとまず、仮想HDDの入れ替えで対応し、縮小後仮想HDDの起動が問題ない事を確認でき次第、
縮小前仮想HDDを削除する。

# cd /var/libvirt/images
# mv hdd.img hdd.original.img
# mv hdd.dec.img hdd.dec.img

 
7). 縮小後仮想HDDの圧縮
仮想HDDの中身をddした時に、仮想HDDの空領域にも0が書き込まれている為、
ホストOSから見た仮想HDDの容量が最大値まで増加している。
0パディングされか箇所が勿体ないので、仮想HDDの圧縮を行う。

 
0). おまけ
qemu-imgコマンドだけでリサイズする場合、
ゲストOS上でデフラグを掛けた上で以下のコマンドでも出来る。
この時、コマンドの仕様を回避する為に'-'を二回入力する必要がある点に注意。

# qemu-img resize hdd.img -- -50GB