メールのSPF・DKIMを補強する送信ドメイン認証技術(DMARC)を取り扱うプログラム。
別途スクリプトを組み合わせる事で、ドメイン認証レポート送信する事も出来る。
DMARCは仕組み上、単体利用する事が出来ない点に注意する。
今回検証した環境はこちら
他には下記の通りに構築。
1. インストール
OpenDMARCはディストリビューション毎にパッケージ名の差異が無いので、
各パッケージ管理システムに応じてインストールする。
# apt-get install opendmarc
# yum install opendmarc
# zypper install opendmarc
2. 設定
項目についてはOpenDMARCのドキュメントに詳細が書いてあるので割愛。
DMARC評価結果はAuthentication-Resultsヘッダに追記するので、必要に応じてauthserv-idを設定する。
設定内容 |
3. MTA設定
OpenDMARCを呼び出す為、MTA(Postfix)にmilter設定を追加する。
milterを追加する時、DKIM認証の前にDMARCを追加するとDKIM認証が崩れる。
回避するにはDKIM認証を弱く(relaxed/relaxed)するか、DKIM認証の後にDMARC評価を追加する。
下記は、DKIM認証後にDMARC評価を行うmilter設定となる。
smtpd_milters=inet:127.0.0.1:10027,inet:127.0.0.1:20027 non_smtpd_milters=$smtpd_milters
4. 稼働テスト
実際にメールを受信してSPF/DKIM/DMARCのヘッダーが追加されるかテストする。
GmailはSPF/DKIM/DMARC全てに対応しているので、Gmailからメールを送信する事でテストを行う。
設定が正常に出来ていると下記の様なヘッダが追加される。
Authentication-Results: mx.***-*****.com; dmarc=pass (p=none dis=none) header.from=gmail.com Authentication-Results: mx.***-*****.com; dkim=pass (2048-bit key; unprotected) header.d=gmail.com header.i=@gmail.com header.b=********; Authentication-Results: mx.***-*****.com; spf=pass (sender SPF authorized) smtp.mailfrom=gmail.com (client-ip=209.85.***.***.; helo=***.google.com; envelope-from=*****@gmail.com; receiver*****@***.***.***)
DMARCは受信メール情報を蓄積しておき、正規のメール送信元ドメインに評価レポートを送る仕組みがある。
OpenDMARCもテキストデータでDMARC評価結果が蓄積されているので、
専用のコマンドを用いて加工すればレポート送信が可能となる。
DMARCレポートを生成・送信するにはMySQLとperlが必要となる。
MySQLはコチラで構築手順を公開しているのでこの場では割愛する。
perlについてはCPANでモジュールを下記の様にインストールする。
下記はopenSUSE環境で構築した場合の参考コマンドとなる。
ただし、単にモジュールインストールを流し込んだだけなので、
実際には構築環境に合わせて必要な物をインストールする。
cpan[X]> install Domain::PublicSuffix cpan[X]> install Switch cpan[X]> install DBI cpan[X]> install File::Basename cpan[X]> install File::Temp cpan[X]> install Net::Domain cpan[X]> install Getopt::Long cpan[X]> install IO::Handle cpan[X]> install IO::Compress::Zip cpan[X]> install POSIX cpan[X]> install MIME::Base64 cpan[X]> install Net::SMTP cpan[X]> install Time::Local cpan[X]> install Net::DNS cpan[X]> install Domain::PublicSuffix cpan[X]> install DBD::mysql cpan[X]> install HTTP::Request
zypper install perl-Switch perl-DBI perl-File-Basename-Object perl-File-Temp perl-Net-Domain-TLD zypper install perl-Getopt-Long-Descriptive perl-IO-Handle-Util perl-Mail-Sender perl-Net-SMTP-SSL
DMARC評価データをDBに蓄積する為、MySQLに新規DBを作成してスキーマを流し込む。
DB名をopendmarc以外にしている場合、スキーマに埋め込んであるdatabase名と不整合が発生し、
スキーマインポートが出来ない場合がある。
database名の不整合が発生したら、スキーマ内のdatabase名を変更して対応する。
> 下記条件でDBを構築した場合のコマンド例 > IP : 127.0.0.1 > Database: opendmarc > User : db_user > Password: db_pass --- mysql -u db_user -p opendmarc < /usr/share/doc/packages/opendmarc/schema.mysql
DMARCレポートを送信するには、下記3コマンドを実行する必要がある。
OpenDMARCでは、これらを実行するコマンドが用意されているので活用する。
上記の操作を自動化する為に、GitHubでサードパーティのスクリプトが用意されている。
今回は利用しないが、自動化を楽に実装する場合は活用する。
トピック |
/usr/sbin/opendmarc-import --dbhost=127.0.0.1 --dbuser=db_user --dbpasswd=db_pass --dbname=opendmarc --verbose < /var/run/opendmarc/opendmarc.dat
/usr/sbin/opendmarc-reports --dbhost=127.0.0.1 --dbuser=db_user --dbpasswd=db_pass --dbname=opendmarc --verbose --interval=86400 --report-email report@mail.hogehoge.com --report-org mail.hogehoge.com
/usr/sbin/opendmarc-expire --dbhost=127.0.0.1 --dbuser=db_user --dbpasswd=db_pass --dbname=opendmarc --verbose
DBにインポートしたDMARC評価データは表示専用のWebアプリがあるので活用する。
アプリのインストール方法は、配布先のGitHubで公開しているのでそちらを参照。
参考画像として、opendmarc-dashboardを筆者の実環境で実行したキャプチャを掲載しておく。