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Arista vEOS Router on Proxmoxを試してみた

2023年03月25日(土) - 09:44 | カテゴリ: Network

前回はHyper-Vの上でArista vEOSを動かしてみたが、
最新バージョンのvEOSは起動しなかったり課題が残る結果だった。

“ns-lab BB”はKVMを始め複数のハイパーバイザーで構成されており、
検証環境はKVMとVMwareをベースに組んでいる。
公式でqcow2イメージを配布している位なのでKVMは起動すると踏んで、
ProxmoxでもArista vEOS Routerを起動出来るのかテストしてみた。

結果、仮想ルータのデプロイにコツが必要だが無事に動かせたので記事に残しておく。

今回は現時点で新し目の下記バージョンで検証してみた。
Proxmoxだけマイナーバージョンが低いが、
アップグレード後にホストサーバの再起動をしていないだけだったりする。

  • Proxmox 7.3-4
  • Aboot-veos-serial-8.0.1.iso
  • vEOS64-lab-4.29.2F.qcow2

ポイントは敢えてシリアルコンソール対応版の起動ISOイメージを用いる事。
仮想環境でシリアルを使う事は稀なので通常版で良さそうだが起動すらしなかった。

vEOSの仮想ルータイメージは何でも良いが、こだわりが無ければ64bit対応版を推奨。
試してみた所、32bit・64bitの両方とも起動出来たので、
ルータで利用するメモリ容量に合わせて選べばいいと思う。

Arista vEOS Routerの最低スペックである、2vCPU・4GB/Mem・8G/Diskを満たす様にする。
最新の情報は公式サイトを参照。

忘れやすいのが仮想シリアルインターフェースの追加。
前述の通りシリアルコンソール対応版を使わないと起動出来ないので、
仮想ハードウェアとしてもインターフェース追加が必要になる。
他のハードウェア設定は環境次第だが弄り倒す程でも無いので既定設定にしている。
NICはE1000にしているがVirtIOでも動作する。

起動用ISOイメージはDVDドライブとしてISOマウントしても良いし、
仮想ディスクとしてProxmoxにインポートしても動作する。
筆者はISOイメージを常時残したりDVDドライブを確保するのは避けたかったので、
仮想ディスクとしてインポートした状態でゲストインスタンスに組み込んでいる。

Proxmoxにイメージをインポートするコマンドは次の様になる。
事前に作ったゲストインスタンスのVMIDを指定してインポートする。

# qm importdisk <vmid> Aboot-veos-serial-8.0.1.iso local-zfs
# qm importdisk <vmid> vEOS64-lab-4.29.2F.qcow2 local-zfs

Proxmoxにインポートが出来たらIDEとしてディスクをアタッチする。
その後にブート順の変更を行いAboot-veosのIDE番号を選べば起動準備完了となる。

………

注意点を踏まえた上で、実際に動かしているArista vEOS Routerの構成は次の通り。
コレでも実機とネットワーク接続してルーティング交換は出来るし、
なんならこの記事を書いている現在も動いている。

………

今回利用している検証用vEOSの仕様でもあるが、
データ転送用インターフェースの実行速度とレイテンシが非常に遅い点に注意。
本来はASICなどハードウェア制御する転送処理をソフトウェアとして再現している為となる。

ローカル内でpingだけしか転送していないのに応答が5~10msはざらにかかるので、
特性を理解した上でレイテンシを求めない動作検証に特化した方が良い。

その分、仮想ルータだと難しいルーティング制御は正常動作する。
OSPFやBGPも喋れる上、経路交換で100以上の経路をインポートするのも出来たので、
L3に特化したラボ環境や台数が必要なIP CLOS検証では有力候補になる。

AnsibleからvEOSを弄るモジュールも準備されているので自動デプロイ検証にも使える。
vEOSの中身はCentOSなので、enableした後にbashを叩くとshellに落ちる事が出来るので、
確実に非推奨だがアイディア次第で作り込みも可能。

ネットワーク機器なら「?」を打ってリニアな反応を見ながら設定したいので直接弄る事が多いが、
それでも実機と遜色なく動いてくれた。
検証・ラボ向けではあるが無料なので、Proxmoxを持っている人は一度触ってみて欲しい。





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