自鯖で使っているVPSを比較してみた [ConoHa/さくらのVPS/ABLENET]
ns-labのシステムは殆どが自宅鯖で稼働しているのだが、
Internetに公開しているコンテンツサーバは、冗長化・負荷分散目的で普通のVPSも併用している。
しかも、自分の場合は「VPS事業者・回線・所在地」も全部違うようにし、
何処かのAS単位でNWが倒れても、問題無く提供出来るように構成してあったりする。
…まぁ、そこまでサーバリソースを使い切っていないのが玉に瑕ですが (´・ω・`)
今回は、それらで得た情報を活用してブログのネタ切れ補完する為、
サーバ上から判る各社の仮想サーバ構成などを纏めてみて、
『VPS使いのDR要件を満たせる事業者』を記載してみようと思う。
今回は筆者が利用しているサーバのみを対象とするので、
「ConoHa・さくらのVPS・ABLENET」の三つに焦点を当てる。
ちなみに、さくらのVPSだけはディスク容量重視で契約している都合上、参考程度に記載。
………
- VPSプラン
※1:年払いサービスは無いので、1ヶ月分を12ヶ月支払った料金で試算
サービス名 | ConoHa | さくらのVPS | ABLENET |
リージョン | 東京 アメリカ シンガポール |
東京 石狩 |
大阪 |
初期費用 | 0円 | 2,160円 | 2,839円 |
金額(月額) | 1,750円 | 1,706円 | 1,791円 |
金額(年一括) | 21,000円 [※1] | 18,770円 | 16,915円 |
- サーバ構成
※2:自前のISOイメージからインストール出来るので、実際は何でも動かせられる
※3:openSUSEはサービス内容には載っていないが、実際は用意されているので利用可能
※4:実際はホストに1個(/128)割り宛て、他のIP(/124)をサーバにスタティックルーティング
サービス名 | ConoHa | さくらのVPS | ABLENET |
ハイパーバイザー | KVM | KVM | KVM |
利用可能OS | CentOS Ubuntu Debian FreeBSD Fedora openSUSE Arch Linux NetBSD OpenBSD |
CentOS Ubuntu Debian FreeBSD Fedora openSUSE Scientific Linux [※2] |
CentOS Ubuntu Debian FreeBSD Fedora openSUSE Scientific Linux Arch Linux Vine Linux Slackware [※3] |
データ転送量 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
回線速度 | 100Mbps(共用) | 100Mbps(共用) | 200Mbps(共用) |
IPv4 アドレス | 1個(/32) | 1個(/32) | 1個(/32) |
IPv4 逆引き(初期/変更) | 有り/可能 | 有り/可能 | 有り/可能 |
IPv6 アドレス | 17個(/124) [※4] | 1個(/128) | 65536個(/112) |
IPv6 逆引き(初期/変更) | 有り/可能 | 有り/不可 | 無し/不可 |
追加IPアドレス | 可能 | 不可 | 可能 |
- スペック比較
※5:下記スペックは筆者が契約しているプラン
サービス名 | ConoHa | さくらのVPS | ABLENET |
契約年月 | 2015年07月 | 2016年10月 | 2017年05月 |
リージョン | 東京 | 石狩 | 大阪 |
CPUモデル | Xeon E5-2660 v3 2.6GHz | Xeon E5645 2.4GHz | Xeon E5-2667 v3 3.2GHz |
CPUコア | 3コア | 3コア | 3コア |
メモリ | 2GB(2,058,452KB) | 2GB(1,883,572KB) | 2.5GB(2,563,388KB) |
ディスク形式 | SSD | HDD | SSD |
ディスク容量 | 50GB | 200GB | 60GB |
IPv4 AS番号 | AS7506 | AS7684 | AS2554 |
IPv6 AS番号 | AS7506 | AS7684 | AS4694 |
………
- ConoHa
長期利用だとトータルコストが高くなってしまうが、
それを許容出来るレベルの高スペックサーバを使えるのが魅力。
DNS逆引き・リソース拡張・好きなOSの利用など、自鯖屋がやりたい事はほぼ実現出来る。
また、サーバ自体も処理の早いCPUとSSDを積んでいて、余程のヘビーユーザとぶつからなければ、
普通のブログ程度ならば問題無く動かせられる。
回線はGMO系なのでバックボーンは太く、Googleへのpingは平均0.5~1.0ms程度。
通信経路は「ConoHa > interQ > JPIX/EQUINIX」辺りでInternetへ抜けている模様。
宛先毎に通過するIXが切り替わっているので、等コストで細かく負荷分散しているのかもしれない。
- さくらのVPS
国内のVPSと言ったら真っ先に思い浮かぶ事業社の一つ。レールガンとコラボしていたのが懐かしい…
以前は大阪リージョンも選択出来たのだが、現在は東京・石狩の2リージョンのみになっている。
知名度は抜群なのだが、リソース増強が出来なかったり、IPv6対応が弱いのが残念。
また、地味に困るのがメモリ容量計算が1000の為、他の事業者と比較すると200MByte程メモリが少ない点。
VPSだとメモリ容量が足りなくなる事が良くあるので、これはサービス改善して欲しい。
回線はさくらインターネットの独自バックボーン。
大阪・東京・石狩をかなり太い回線で結んでいるので、トラフィック詰まりはほぼ無い。
流石に、石狩から他拠点へのpingは物理的な距離の関係で少し遅くなるが、
石狩⇔東京で20ms、石狩⇔大阪で25msなので許容可能レベル。
通信経路は「さくらBB[石狩] > さくらBB[東京] > JPIX」っぽい。
石狩の通信は東京へ一度集約された後、Internetへ抜けていた。
ちなみに、さくらインターネットはSINET5と10Gbpsで直結しているので、
学術用途でクラウドをぶん回す場合は勝手が良いかもしれない。
ただし、さくらのVPSはSINET5への直結経路対象外なので注意。
- ABLENET
知っている人は知っている老舗VPS事業者。
広告が殆ど無い&古めかしいWebサイトな事もあり「初心者お断り」雰囲気が非常に強い。
が、長期利用を前提にサーバを借りる場合は、他事業者よりも格安でワンランク上のサーバを借りれる。
IPv6逆引きに対応していない(そもそも付与されていない)為、IPv6運用の場合は注意が必要だが、
アドレスを”/112″貰えたりするので、アドレス調達先としても非常に優秀。
CPUは今回の3事業者の中で一番早いが、ディスク速度が控えめなので総処理速度はConoHaの方が高い。
ただし、メモリが500MB多いのでメモリを大量に利用する使い方をする場合は、
ConoHaよりもABLENETの方が良いかもしれない。
ABLENETはデータセンターがIDC Frontier(大阪)を使っている事もありバックボーンはYahooだった。
また、NSPIXP3に直集しているらしく、ISP網を通さずにInternetとYahoo網へ出て行ける。
その為、Yahooへのpingが0.7ms程度の超速を記録出来る。
IX直結である事もあり回線が非常に速いので、逸般の誤家庭がDRサーバを立てる際にはメリットが多い
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色々とサーバを比較してみたが、結局の所重要なのは「データを預けるに値するか」と、
「使いたいOSを利用出来るか」の2点になると思う。
回線の太さも重要だが、やりたい事が出来ない場合は回線云々どころでは無くなるし、
不足の自体でデータが飛んだら泣くに泣けないので。
ちなみに、実際に使ってみた所感だと「さくらのVPS」は人が沢山いて混んでいる印象を受けた。
逆にConoHaは有名な割には意外と空いていて、スクリプトを回しても動作が重くなる事は少なかった。
ただし、さくらのVPSは標準イメージでサーバを構築した場合、
シグネチャWAFであるSiteGuardを無料で使えるのがかなり大きなメリットとなる。
WEBサーバなど、不特定多数へコンテンツ公開をする場合には是非活用したい機能。
他にもVPS事業者毎にそれぞれ違う仕様や付加要素がある事が多いので、
実際にVPSを利用する前にサービス内容を確認する事をオススメする。
昨今のVPSはワンコイン利用や仮契約プランがあったりするので、
ひとまず契約して使ってから考えるというのも一つの手段かもしれない。