2023年06月09日(金) - 22:06 | カテゴリ:
自作PC
小型サーバの隠れた名機、HPE ProLiant TM200は筆者も複数導入しており、
自鯖のProxmoxクラスタで元気に稼働している。
そんなサーバでも致命的な弱点として排気ファンの交換が効かない点がある。
中古で出回っている筐体は殆ど使い古された物なのでファンの軸ブレが酷く、
新品に交換しないと使えない物がそれなりにある。
だが、TM200に使われているファンは特注なので代替品が売ってなくて交換が出来ない。
公式サイトでスペアパーツを入手できるが2万円超なので、おいそれと買えないのも痛い。
『正規パーツに交換出来ないなら自作すれば良いじゃない』と思い立ったので、
カシメ工具を片手に市販品を使って出来る限り再現出来ないか試してみた。
前提だが、筆者が試した方法でもファンエラーを完全に解消する事は出来ないので、
万全を期すなら本家からスペアパーツを購入した方が良い。
それを承知の上で自力解決したい場合は次のパーツを揃えれば互換品もどきを作る事が出来る。
- Noctua NF-A4x20 / 40x40x20mm, 4pin PWM, 5000rpm
- Owltech OWL-FANGUARD04-2P
- Molex PicoBlade 1.25mm 4pin PWM
- 適当な4cm角ファンフィルタ
正規品は厚さが28mmだが、40mm角で4ピンPWM対応の28mm厚のファンが皆無な上、
あったとしても12,000rpm超の爆音ファンしかない。
試しに13,500rpmのファンを搭載した事があるが、離陸音が響いてドン引きしたので即やめた。
例に挙げたパーツを写真の様にサンドイッチ構成にすると、30mm厚になるのでギリギリ搭載できる。
全パーツがねじ止め出来るので接着剤は本来不要だが、
厚みを稼ぐ為のファンフィルターがグラついたので今回は接着剤も併用してみた。
………
物理的な壁を乗り越えた先に待っているのは、ファンと1.25mmファンコネクタの結線方法となる。
TM200のファン結線情報が何処にも無いのでファンのデータシートから推測する必要がある。
データシートだとPULSEとPWMの結線を確定出来なかったのだが、
実機でファン回転数の制御が出来ているっぽいのは、左の「黒・赤・黄・青」結線だった。
本格的に調査するには回転数制御しながら相回転計を使ったり、
ロガー計測する必要ありそうだが使い方がわからないので専門の人にお願いしたい (´・ω・`)
例に上げたパーツで組み立てたとしても回転数が5,000rpmなので、
起動直後の回転数が足りずエラーになる場合がある。
数回起動を試して回転を滑らかにした後なら起動してくれるのと、
一度起動しきればそのまま使えるので、一応排気ファンとしては機能する。
6,000rpm位あれば普通に起動しそうな気がするので、
ARCTIC S4028-6K 40x40x28mm DC12V PWMあたりならそのまま使えるかもしれない。
………
最終的に今回の改造ファンを実践投入する事は無かったのだが、
カシメ工具の使い方を勉強し直したり、データシートを自力で読み解くのは結構面白かった。
本職でも物理層を弄る機会はあるが、流石にこのレベルまでは無かったので良い経験になった。
その分の試行錯誤でお金が万単位で吹き飛んだが、それもまた勉強の内だと思うので良しとしよう。
この情報が他の人の役に立つかどうかはわからないが、
自宅にエンタープライズサーバ筐体を導入しようとしている人の騒音対策になれば嬉しい限り。
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2023年04月01日(土) - 17:39 | カテゴリ:
Network
最初に結論を書いてしまうが、
vEOSではVXLANインターフェースでPath MTU Discoveryが出来ないのが原因だった。
………
今までもVXLANは試用していたが、MTU1500の同一LAN内でしか使っていなかった。
今回は広域LANでどう動くのか見る為、
インターネット経由のIPSecVPNをアンダーレイネットワークとして構築した上に、
VXLANを構築しようとしたのだが、通信を流しても断続的に止まってしまった。
通常はMTU1500でLAN内の通信をする事が多い。
しかし、IPSecVPNをするとVPNパケット分のオーバーヘッドが増えてしまう。
昨今のインターネット回線でMTU1500の通信が出来るのはビジネス用途とNURO位で、
他の回線は軒並みMTUを減らす必要がある。
vEOSでPath MTU Discoveryが出来ないので、
アンダーレイのMTUを1550以上まで増やす必要があるのだが、
インターネット上のIPSecVPNが問題になりMTUの変更が出来なかった。
少し調べてみた所、
ネットワーク層(L3)ならPath MTU Discoveryでパケットの分割と再構築が出来るが、
データリンク層(L2)でMTU分割をすると、
パケットを上手く繋ぎなおすのが難しいらしく搭載されないケースが多い模様。
ALAXALAの高いL3スイッチではVXLAN PMTUが搭載されているが、
他ベンダーのネットワーク装置では搭載している物が見つからなかった。
今回は検証環境なので別の手段に置き換えて構築する方針に変更する事に。
今後やろうと思っているKubernetesでも使う内容なので、
この機会に細かい部分まで弄ってみようと思う。
2023年03月27日(月) - 21:30 | カテゴリ:
Linux
zabbixの追いかけを放置してProxmoxに浮気している間に6.4がリリースされていた。
最新版が出たとなるとアップグレードして動作を見ておきたいのと、
ついでにバックエンドのMariaDBも同時にメンテを行ってみた。
データベースの方は、MariaDB 10.7からMariaDB 10.11へアップグレードをした。
zabbix 6.4はMaria DB 10.11に対応していないが、
次期マイナーバージョンでは対応予定にもなっているのでLTS適用を優先した。
DBのフルダンプを事前に取得してデータが壊れても復旧出来る様にしてから着手したが、
“mariadb-upgrade”も全てPASSして作業が完了した。
下記の公式マニュアルを事前確認しておいたのも効いた。
………
zabbixの方はZabbix ServerとZabbix Proxyを停止してからバイナリを入れ替えつつ再起動。
コンフィグは一文字も変更せず流用したが無事に起動した。
が、データベースの文字コードと照合順序が古いままだったのと、
主キーが古いままだった事に気づいたので修正も実施。
zabbixを長年動かし続けると遭遇する事が多いデータベース絡みのエラー。
毎回手動で直すのも面倒なので、今回はデータベース自体の照合順序も変更した。
主キー更新はオンラインドキュメントの手順に従い実施したら終わったので割愛。
そんなこんなで文字コード照合順序打ち込んだコマンドは次の通り。
厳密には、もっと丁寧に実施した方が良いが自宅サーバなので手抜きした。
データベース名は”zabbix”に置換しているが大体のコマンドは合っている。
SELECT SCHEMA_NAME,DEFAULT_CHARACTER_SET_NAME,DEFAULT_COLLATION_NAME \
FROM information_schema.schemata \
WHERE SCHEMA_NAME = 'zabbix';
+--------------------+----------------------------+------------------------+
| SCHEMA_NAME | DEFAULT_CHARACTER_SET_NAME | DEFAULT_COLLATION_NAME |
+--------------------+----------------------------+------------------------+
| zabbix | utf8mb3 | utf8mb3_general_ci |
+--------------------+----------------------------+------------------------+
SELECT TABLE_SCHEMA,TABLE_NAME,TABLE_COLLATION \
FROM information_schema.tables \
WHERE TABLE_SCHEMA = 'zabbix' AND TABLE_COLLATION = 'utf8mb3_general_ci';
+--------------+------------------------+--------------------+
| TABLE_SCHEMA | TABLE_NAME | TABLE_COLLATION |
+--------------+------------------------+--------------------+
| zabbix | scim_group | utf8mb3_general_ci |
| zabbix | connector | utf8mb3_general_ci |
| zabbix | userdirectory_saml | utf8mb3_general_ci |
| zabbix | userdirectory_ldap | utf8mb3_general_ci |
| zabbix | userdirectory_media | utf8mb3_general_ci |
| zabbix | userdirectory_idpgroup | utf8mb3_general_ci |
| zabbix | connector_tag | utf8mb3_general_ci |
+--------------+------------------------+--------------------+
ALTER TABLE zabbix.scim_group CONVERT TO CHARACTER SET utf8mb3 COLLATE utf8mb3_bin;
ALTER TABLE zabbix.connector CONVERT TO CHARACTER SET utf8mb3 COLLATE utf8mb3_bin;
ALTER TABLE zabbix.userdirectory_saml CONVERT TO CHARACTER SET utf8mb3 COLLATE utf8mb3_bin;
ALTER TABLE zabbix.userdirectory_ldap CONVERT TO CHARACTER SET utf8mb3 COLLATE utf8mb3_bin;
ALTER TABLE zabbix.userdirectory_media CONVERT TO CHARACTER SET utf8mb3 COLLATE utf8mb3_bin;
ALTER TABLE zabbix.userdirectory_idpgroup CONVERT TO CHARACTER SET utf8mb3 COLLATE utf8mb3_bin;
ALTER TABLE zabbix.connector_tag CONVERT TO CHARACTER SET utf8mb3 COLLATE utf8mb3_bin;
ALTER DATABASE zabbix CHARACTER SET utf8mb3 COLLATE utf8mb3_bin;
|
データベースを弄った後にZabbix ServerとZabbix Proxyを再起動して10分程度動かすと反映される。
………
実際にzabbix 6.4を弄ってみたが目に見えて大きな変更点が無くすんなり弄れた。
公式サイトに書いてある、テンプレートをバージョン管理出来るっぽいのが便利に見えたが、
手動で管理する物では無さそうだった。
zabbix 5.0の時にあったUI変更の様に目に見えた大きな変更点は無かったので、
エンタープライズ用途でも学習コストが少ないのは嬉しい。
その割には内部処理は高速化されているみたいなので暫く動かしてみる。
今回の6.4へのアップグレードはすんなり出来た。
二の足踏んでいる自宅サーバ民ならサクッと実施しても大丈夫だろう。
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